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「独身 正社員 しがみつく」と検索したあなたへ ― それは恥でも敗北でもなく、最も合理的な生存戦略だ

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「独身 正社員 しがみつく」。

このキーワードで検索する人間の気持ちは、たぶん2種類ある。

ひとつは「俺、このまま今の会社にしがみついていていいのか?」っていう、自分への問いかけ。もうひとつは「しがみつくことを誰かに肯定してほしい」っていう、静かな承認欲求だ。

俺は両方の気持ちを何度も経験してきた。世間は転職やキャリアアップを煽る記事ばかりで、「しがみつく」という選択を肯定してくれる声はどこにもない。むしろ「しがみつく中年は会社のお荷物」「向上心がない」みたいな、刺すような言葉ばかりが目に入る。検索結果の上位は、たいていそういう記事だ。

だから今日ははっきり書く。独身・低年収・中年の俺たちにとって、「正社員にしがみつく」のは恥でも敗北でもない。それは数字で見て、最も合理的な生存戦略だ。今日はその根拠を、淡々と並べていく。

この記事で解決できる悩み
  • 「独身で正社員にしがみつく」自分を、どこか恥じている
  • 世間の「向上心を持て」「挑戦しろ」という空気に消耗している
  • しがみつき続けるために、具体的に何をすべきかわからない
目次

「しがみつく」を見下す価値観の、構造的な嘘

まず、「しがみつくのはみっともない」という価値観がどこから来ているのかを整理しておきたい。

この価値観を声高に語るのは、たいてい2種類の人間だ。

ひとつは転職市場で価値の高いキャリアを持つ高年収層。彼らにとって転職は「年収を上げる手段」だから、しがみつく必要がない。当然「しがみつくな」と言える。立っている地面が、そもそも違う。

もうひとつは転職エージェントや転職本の著者。彼らは人を動かすことで稼ぐビジネスモデルだから、「しがみつくな、動け」と言う以外の選択肢がない。客が動かなければ、彼らの飯のタネがなくなる。

つまり「しがみつくのはダメ」っていう言説は、それを言うと得をする人たちのポジショントークであって、俺たち低年収・独身・中年層には何ひとつ当てはまらない。彼らの言葉を真に受けて勢いで辞めた結果、年収が100万下がって後悔している人間を、俺は現場で何人も見てきた。煽る側はノーリスク。煽られる側だけが転落する。よくある構図だ。

「しがみつく」が、なぜ最も合理的なのか

じゃあ、なぜ俺たちにとって「しがみつく」が最も合理的なのか。これも数字で見ていく。

仮に年収320万円の正社員を、定年65歳まで25年間続けたとする。生涯収入は単純計算で8000万円。退職金が仮に200万円出るとして、合計8200万円。これに加えて、厚生年金の積み立て、社会保険料の会社負担分、有給休暇、傷病手当金などの目に見えない福利を全て金額換算すると、おそらく生涯で1億円を超える価値になる。

これを失うコストを考えてみてほしい。仮に勢いで辞めて、次の仕事が見つからずに半年無職になったとする。その間の生活費だけで軽く100万円が消える。さらに非正規に転落すれば、生涯収入は3000万〜4000万円規模で目減りする可能性がある。

つまり「しがみつく」という選択は、感情的には地味だが、金額換算すれば数千万円規模の防衛戦だってことだ。これを「みっともない」と言われる筋合いはない。むしろ数千万円を守る行為を「みっともない」と言う人間のほうが、金銭感覚を疑ったほうがいい。

しかも、独身の俺たちには扶養家族がいない。配偶者や子供のために「もっと稼がねば」というプレッシャーもない。年収320万でも、独身なら手取りで月22万。これは生活防衛さえできれば、十分に「生き延びられる」金額だ。家族持ちには絶対に成立しない、独身ならではの戦略だ。皮肉な話だが、独身という弱点こそが、この戦略を成立させる最大の武器になる。

しがみつき続けるための、具体的な技術

ただし、ただ漫然と座っているだけでは椅子は守れない。しがみつくにも技術がいる。会社は常にコストカットの対象を探している。中年・独身・年収普通の人間は、リストラリストの上位に来やすい。だから戦略的にしがみつく必要がある。

俺が10年以上、コールセンター業界という流動性の高い業界で生き残ってきた中で、有効だと感じた技術を3つ書いておく。

ひとつめは「替えがきかない雑用係」になること。出世競争には絶対に参加しない。だが、誰もやりたがらない雑用は積極的に引き受ける。マニュアル整備、新人教育、クレームの一次受け、システムトラブル時の調整。地味で評価されにくいが、いなくなると現場が止まる仕事。これを引き受ける人間はリストラ対象に選ばれにくい。「あいつを切ると、誰があの仕事をやるんだ?」という空気を作るのが目的だ。出世しない代わりに、首も切られない。それでいい。

ふたつめは「敵を作らない」こと。中年がリストラされる時、決定打になるのは能力じゃなくて人間関係だ。「あいつは扱いにくい」「協調性がない」というラベルを貼られた瞬間、椅子は危うくなる。だから、出世を狙わない代わりに敵も作らない。飲み会には1次会だけ顔を出して帰る。陰口には加わらない。意見も対立も避ける。空気のように存在する。これが中年のしがみつき技術の中核だ。地味だが効く。

みっつめは「健康を守る」こと。中年がしがみつけなくなる最大の理由は、リストラじゃない。自分の体が壊れることだ。腰痛、メンタル不調、生活習慣病。これで長期離脱した瞬間、しがみつきゲームは終わる。だから俺は最近、安い体重計と血圧計を買って、毎朝数字を記録している。月数千円の投資で、しがみつきの年数が5年延びるなら、これ以上のコスパはない。意志の力じゃなくて、数字の力で自分を管理する。

しがみつきながら、最悪に備える

ただし、どれだけ技術を磨いてもリストラされる時はされる。会社が潰れる時は潰れる。だから、しがみつき戦略と並行して「いつ椅子を失ってもいい準備」を淡々と進めておく必要がある。

具体的には、生活費6ヶ月分の現金を別口座に確保すること。職務経歴書を半年に一度更新すること。失業保険の受給条件を把握しておくこと。それくらいでいい。派手な副業もリスキリングも、俺たちにそんなエネルギーはない。

しがみつくことに集中しながら、机の引き出しに小さな避難袋を入れておく。それだけのことだ。

俺たちにとって、それはどういう意味を持つのか

独身 正社員 しがみつく」と検索したあなたに、最後に伝えたいことはひとつだ。

しがみつくことを、恥じる必要はない。

それは「向上心がない」んじゃない。「失うものの価値を正しく理解している」ってことだ。年収320万の正社員という椅子は、独身・中年の俺たちにとって生涯1億円規模の資産だ。それを守る行為が、なぜ恥になるのか。むしろ、それを軽々しく手放して「キャリアアップ」を語る人間のほうが、金銭感覚としては危ういと俺は思っている。

世間はしがみつく人間を笑う。だが、笑う人間の多くは、俺たちと違うルールのゲームを戦っている。彼らのルールに俺たちが付き合う義理はない。

明日もまた、同じ椅子に座りに行く。それは敗北じゃない。それは自分のゲームのルールを、自分で決められる人間だけが取れる、静かな勝利のかたちだ。

まあ、仕方ない。今日もしがみつきに行くか。それでいい。

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この記事を書いた人

kouji_kimuraのアバター kouji_kimura 限界独身サバイバー

38歳、独身。手取り22万の電話オペレーター。 27歳で「あなたとの将来が見えない」と振られたことを機に、世間並みの幸せを諦める。現在は、人生のダメージを最小化する「生存防衛線」を構築し、静かな孤独を享受している。

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