夜中の二時過ぎ、冷蔵庫が突然、断末魔みたいな音を立てて沈黙した。
去年の夏の話だ。買い替えに飛んだ金額は、約8万円。痛い、なんて言葉じゃ済まなかった。あの時もし手元にその金がなかったら、俺はクレジットカードのリボ払いっていう、最も愚かな選択肢に手を伸ばしてたと思う。
独身で年収も高くない俺たちにとって、人生は地雷原だ。冠婚葬祭の祝儀(という名の罰金)、親族の不幸、急な歯の治療、そして家電の寿命。これは「もしも」じゃない。「いつか必ず起こること」だ。問題は、それがいつ来るか分からないってだけの話。
今日はその不意打ちで人生を終わらせないための、俺の防衛策について書いておく。文が入る
- 給料日前になると口座残高が1万円を切り、不安で動悸がする
- 「貯金しよう」と思っても、いつの間にかメイン口座から消えている
- 冠婚葬祭や家電故障など、突発的な出費が来るたびに生活が崩壊する
なぜ「貯金箱」も「メイン口座」もダメなのか
まず断言しておくが、「貯金しよう」という意志の力は信用しちゃいけない。これは精神論じゃなくて、行動経済学的にもそうらしい。金は目に見える場所にあれば必ず使う。俺やお前の意志が弱いからじゃない。人間ってのはそういう生き物なんだ。
メインバンク(給与振込口座)に「これは貯金分」って心の中で印をつけておくやり方は、ほぼ100%失敗する。残高として表示された数字を、脳が勝手に「使える金」だと認識しちまうからだ。
かといって、タンス預金もダメ。火災、盗難、そして何より「ちょっとコンビニで」っていう日常の侵食に耐えられない。
必要なのは、自分自身から金を物理的にも心理的にも引き剥がす仕組みだ。意志に頼らない。頼った時点で負けてる。
「第3の防衛口座」っていう考え方
俺が実践してるのは、口座を3つに分けるっていう、拍子抜けするほど単純な戦術だ。
第1口座:給与振込・固定費用(メガバンクか地銀)
家賃、光熱費、通信費、サブスク。自動引き落としが集中する口座。給料が振り込まれて固定費が出ていくだけの「通過点」と割り切る。
第2口座:生活費用(普段使い)
第1口座から毎月決まった額(俺の場合は食費と雑費で5万円)だけを移す口座。デビットカードと紐づけて、ここから日常の支払いをする。この口座が空になったら、その月は終わり。これがルール。シンプルだ。
第3口座:防衛口座(ここが本題)
そして問題の第3口座。ここに毎月給料日に自動で1万円か2万円を振り込む。目標額はまず10万円。これが最初のマイルストーンだ。10万円あれば、たいていの不意打ちには耐えられる。
「第3の防衛口座」を機能させる5つの掟
口座を作るだけじゃ意味がない。重要なのは、この口座を「存在しないこと」にするための運用だ。
掟1:ネット銀行を使う
住信SBIネット銀行、楽天銀行、あおぞら銀行BANK。店舗のないネット銀行を選ぶ。理由は単純で、普通預金金利が圧倒的に高いから。メガバンクの0.001%とは桁が違う。どうせ眠らせておくだけの金だ。だったら、わずかでも増える場所に置いとけ。
掟2:キャッシュカードは家の引き出しの奥にしまう
財布には絶対に入れない。コンビニATMでサッと引き出せる状態にしておいたら、防衛口座の意味は崩壊する。
掟3:スマホアプリは「ホーム画面から消す」
アプリを削除する必要はない。ただホーム画面には置かない。フォルダの奥深くに沈める。「残高を確認する」っていう行為そのものを、面倒くさくするんだ。視界に入れない。これが効く。
掟4:自動入金サービスを設定する
住信SBIネット銀行の「定額自動入金サービス」とかを使えば、メインバンクから毎月決まった額を勝手に吸い上げてくれる。手数料も無料。意志の力を一切介在させない仕組みを作る。これが本丸だ。
掟5:使うのは「本当のもしも」の時だけ
「ちょっと飲みに行きたい」「欲しい本がある」――こんなのは「もしも」じゃない。冠婚葬祭、医療費、家電の故障、失業時の繋ぎ。この4つ以外では絶対に手を付けない。ここで自分に甘くなったら、全部が無に帰す。
装備品リスト(参考)
俺が実際に使ってるのは住信SBIネット銀行だ。理由は、定額自動入金が無料で、目的別口座っていう機能を使えば「冠婚葬祭用」「家電修理用」みたいに用途別の内訳を分けられるから。地味だが、これがいい。
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あと、家計の流れを可視化するのにマネーフォワードMEを併用してる。複数の口座残高が一画面で見えるから、第3口座が静かに育っていくのを月に一度だけ確認する。それだけで十分だ。
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結論:俺たちにとって、貯金って何なんだ
世の中の金融記事は「老後2000万円問題」だの「資産形成」だの、やたら壮大な未来を語りたがる。けど俺たちにとって、それは遠すぎる話だ。星の話をされてるみたいで、現実味がない。
俺たち独身・低所得層にとって、貯金は「夢」や「将来」のためのもんじゃない。
それは明日、不意打ちで殴られた時に膝をつかないための盾だ。冷蔵庫が壊れた日にリボ払いの地獄に落ちないための装備であり、親族の訃報が届いた日に香典袋を握りしめて情けなく泣かないための、最低限の尊厳だ。
10万円。たったそれだけの金が、俺たちの人生の崩壊を防ぐ。
まあ、そういうことだ。今日、口座をひとつ作る。話はそこからだ。


