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「丁寧な暮らし」への敗北宣言。3年間自炊を頑張った男が、包丁とまな板を捨てて「キッチンバサミとアイラップ」に移行した合理的な理由。

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3年前、俺は自炊を頑張ろうと決意した。 中古の包丁を買い、ニトリでまな板を買い、フライパンとお玉と菜箸を揃えた。 週末に作り置きをして、平日はそれを温めるだけにする「賢い独身男のライフスタイル」を、雑誌の特集ページで見つけたからだ。

3年経った今、俺の流し台には包丁もまな板もフライパンもない。 代わりにあるのは、キッチンバサミ一本とアイラップ一箱。それだけだ。 これは「丁寧な暮らし」への、俺の正式な敗北宣言である。 そして、その敗北の結果として手に入れた洗い物ほぼゼロの生活の記録だ。

この記事で解決できる悩み
  • 自炊を頑張りたいが、洗い物と片付けに疲れている
  • 「丁寧な暮らし」に憧れるが、現実には続かない自分が嫌になってる
  • 調理器具を減らして、もっと楽に栄養を摂る方法を知りたい
目次

俺が「丁寧な暮らし」に殉じた、3年間の記録

3年前、俺は本気で自炊しようとしてた。 仕事帰りにスーパーで野菜を買って、家で米を研いで、玉ねぎをみじん切りにしてカレーやパスタを作る——そういう生活に憧れてた。 理由は単純だ。 外食は高い。コンビニ弁当は飽きる。そして何より、自炊してる男はちゃんとしてる感じがするからだった。

最初の1か月は、それなりに続いた。 週末にカレーを大鍋で作って、タッパー5個に分けて冷凍する。月曜から金曜までそれを温めて食べる。 だが2か月目あたりから、ある事実に気づき始めた。 自炊で一番つらいのは料理じゃなくて、その後の洗い物だってことに。

包丁を洗う。まな板を洗う。フライパンを洗う。お玉を洗う。タッパーを洗う。米を研いだボウルを洗う。 それぞれを乾かして、戻して、また次の日に出す。 仕事で消耗して帰ってきた人間にとって、この一連の作業は「自炊」じゃなくて「労役」だった。

3年やって、ある日気づいた。 俺は料理が好きなんじゃない。「ちゃんとしてる男」を演じたかっただけって。 そしてその演技は、月収22万円の独身男には維持コストが高すぎた。 要するに、見栄に殉じて疲弊してただけの話だ。

包丁とまな板を、捨てた

ある週末、俺は決断した。 包丁を新聞紙にくるんで、まな板と一緒に燃えないゴミの袋に入れた。 フライパンは知人にあげた。お玉と菜箸は引き出しの奥に押し込んだ。 代わりに買ったのは、キッチンバサミとアイラップだ。

合計1,500円程度の買い物だった。 これで俺の食生活は根本から変わった。

キッチンバサミという「最強の刃物」

キッチンバサミってのは、要するに「まな板を必要としない包丁」だ。 野菜も肉も海苔も油揚げも、全部これ一本で切れる。 切ったものはそのままフライパンや鍋に落とせばいい。 まな板を出して、洗って、乾かす、っていう工程が丸ごと消える。

俺が使ってるのは、刃が分解できるタイプだ。 これなら洗浄も簡単で、衛生面の不安もない。

キッチンバサミ 料理ばさみ 分解 洗える 丸洗い

アイラップという「日本人の発明品」

そしてもう一つの主役がアイラップだ。 これを知らない男のために説明しておく。 アイラップは、岩谷マテリアル株式会社が作ってる「マチ付きの耐熱ポリ袋」だ。新潟県では半世紀前から知られてる、地味だが優秀な日用品である。

何がすごいか。 この袋は、湯せん・電子レンジ・冷凍、全部に対応してる つまり食材をアイラップに入れて、調味料を加えて、鍋に入れて湯せんすれば、鍋を汚さずに調理が完結するってことだ。

鶏胸肉と塩麹を入れて湯せんすれば、サラダチキンができる。 カット野菜と醤油・みりん・砂糖を入れて湯せんすれば、煮物ができる。 冷凍ご飯と卵と冷凍野菜を入れて電子レンジで温めれば、雑炊もどきができる。 フライパンも鍋(の内側)も、汚れない。 

岩谷マテリアル アイラップ

「キッチンバサミ+アイラップ」生活、3つのメリット

3年の自炊苦行から解放されて、俺はようやく気づいた。 これは「ズボラ」じゃない。リソース最適化だ。

メリット1:洗い物が、ほぼゼロになる

包丁、まな板、フライパン、お玉、菜箸——全部不要になった。 食後の洗い物は箸と茶碗だけ。所要時間1分。 仕事で消耗して帰ってきた夜にこれがどれだけありがたいか、独身男なら分かるはずだ。

メリット2:食材を腐らせなくなる

意外なメリットがこれだった。 従来の自炊だと「明日カレー作るから玉ねぎ買っておこう」みたいな計画が必要で、計画通りにいかないと食材が冷蔵庫で死ぬ。 だがアイラップ調理なら、今日の気分で冷蔵庫の中の材料を全部突っ込めば終わる。 計画も献立も要らない。冷蔵庫の中身が勝手に消費されていく。

メリット3:「料理しない罪悪感」が消える

これがいちばん効いた。 「丁寧な暮らし」に憧れてた頃の俺は、自炊できない自分を責めてた。 だがキッチンバサミ+アイラップ生活に切り替えてから、「これは立派な調理だ」と胸を張れるようになった。 栄養も摂れてる。コストも抑えられてる。時間も節約できてる。 何が「丁寧」かは、自分で定義し直していいってことだ。 雑誌の特集記事に決めてもらう必要なんてない。

アイラップのレシピはネット上に腐る程ある。レシピ本も紙でもKindleでもたくさんあるので一冊読んでみてアリかナシか判断するのもいいだろう。

注意点:万能じゃない

正直に書いておく。この方法にもデメリットはある。

  • 焼き物・揚げ物には不向き(湯せんと電子レンジが中心になる)
  • アイラップは消耗品(100枚入り300円程度だが、使い続けるとそれなりにコスト)
  • 「料理してる感」は薄い(インスタ映えはしない)

だが俺たちはインスタ映えのために飯を食ってるわけじゃない。 生き残るために食ってるんだ。 そう割り切れる男には、この方法はピッタリ合う。


俺たちにとって、「キッチンバサミとアイラップ」とは何を意味するのか

俺たち独身・低所得の男にとって、自炊は美徳じゃない。 生存のためのリソース配分の問題だ。 時間、金、体力、精神力——どれも限られた資源だ。 それを「丁寧な暮らし」の演技に使うのは、贅沢にもほどがある。

キッチンバサミとアイラップは、要するに「自炊の演技をやめて、本質だけを残す」ための道具だ。 腹を満たし、栄養を摂り、コストを抑え、時間を残す。 それ以上の何かを食事に求めるのは、独身男にとってはただの自己満足でしかない。

3年かけて、俺はこの結論に辿り着いた。 回り道だったかもしれない。だが回り道をしないと「丁寧な暮らしへの憧れ」は捨てられなかった。 敗北宣言ってのは、現実を受け入れるための、最も合理的な手続きだ。

まあ、仕方ない。今夜もアイラップで湯せんしよう。


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この記事を書いた人

kouji_kimuraのアバター kouji_kimura 限界独身サバイバー

38歳、独身。手取り22万の電話オペレーター。 27歳で「あなたとの将来が見えない」と振られたことを機に、世間並みの幸せを諦める。現在は、人生のダメージを最小化する「生存防衛線」を構築し、静かな孤独を享受している。

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